産直茶屋"かん味処"vol.7に参加しました

今夏のトレンド戦略2021

情報収集や戦略を組み立てよう

食を支えている産業は「トレンド」に対して意識高めにしているように見えて、実は一方で意外と苦手にしていることの一つかもしれないと思う時があります。
今ではメディアのみならずSNSといったツールがあることで、目に触れる機会は多くなったように思いますが、いつもアンテナ張ってみることは身をもって感じています。
どうしても興味がないものはおろそかにしがち・・・つまり興味がなくなると無関心になり人は見なくなるといった視点からも相手に興味をもってもらえるように努める必要があると改めて思います。
ならば「食」の分野だから「食」のことだけでいいかというとそうではなく、あらゆるジャンルに興味をもち日頃からの訓練が大切なんだと・・・
市場やメーカーが一体どういった情報収集をしてどういった戦略を組み立てるのか?
その学びが今回のかん味処のポイントでは?と思い参加です。
(実際、トレンドになるように市場やメーカーはあらゆる情報収集と戦略でメディアに仕込み仕掛けているといったことも聞いたことがあります)

今夏の売りを確立しよう!!

新型コロナによる外出自粛、営業時短が長期化する傾向にある中、今までは当たり前じゃなかったことが当たり前になる「ニューノーマル」
消費の転換と構造転換が進み始めていることは肌で感じているものの、肌感覚だけでは確立できないからこそ、具体的数値(事実)に向き合い、今夏の売りを確立する戦略と対策を考えます。

とある場所の定点観測で学びます。
施設にテナントとして入っていた業態がコロナ禍で閉店し、しばらくテナントが決まらなかったものが現在はすでに別の業態が入っているといった場面から見ても、消費の転換や構造そのものが変化し始めて、また同じ業態でもイートイン型からテイクアウト特化型にと、見る視点によって変化に気づくといった事例です。
(今まで一等地だった場所が格安で入居できる理由もあるかもしれないといった別角度視点の仮説も立ててみました)

コロナ禍の影響とは何か?

2020年度の消費の振り返りをしよう!!(社会心理編)

情報収集をして戦略を構築していくだけでなく、振り返りはやっぱり大切だなとあらためて感じます。
これからどんなことが仮説として考えられるのか?を学びます。

コロナ禍によっての気分(センチメント)推移
ポジティブ(うれしかった・わくわくした・楽しかった・落ち着いた)な回答の割合の平均値と、ネガティブ(悲しかった・腹が立った・憂鬱だった・不安だった)な回答の割合の平均値との比較から、第1波では「得体のしれない未知のウイルス」というネガティブな恐怖感が、第2~第3波では新規感染者数急増するもそれほどネガティブスコア変わらないことがわかる。

これはなぜなのか?高齢者のワクチン接種や大規模接種センター開設などコロナ対策が浸透し始めているのも一つの理由と考えることが出来ると。
ポジティブとネガティブの差が社会心理的にも変わりつつあるのではないか、つまり今月末から来月上旬には現状を変えるキッカケとなるゲームチェンジも想定されます。

例えば・・・
★大きな不安や混乱は夏までには収束する可能性
★オリンピックは実施されるであろう
★都議選→衆議院選→経済対策が実施される(予備費や予算残余分がある)

振り返りから仮説を組み立て、良い悪いは別にして結果そうならなかったとしても考えておくことが重要だと感じました。
となると・・・デジタル化へ一気に加速する可能性は大!!と思われるとのこと。

2020年度の消費の振り返りをしよう!!(個人消費編)

次に個人消費について「自宅」「自宅外」での消費需要の変化を見ます。
すると、想像どおりの感じもうけますがグラフで見るとより説得力が増します。

例えば「自宅外」での消費品目の一例として・・・
★食事会や飲み会、国内旅行、映画・コンサート・スポーツ観戦
→それぞれ反動が大きく、また回復には時間がかかっていることがわかります。

では「自宅」での消費品目の一例として・・・
★お酒、自宅での特別な食事、生活家電
→自宅で消費するお酒の量は変化なく、その他買う場所、そしてのその方法が変化したらもう戻らないことが分かります。

売れたもの、売れなくなったものは何か?(商品と店舗編)

日経トレンディからもインスタント食品の傾向は「より簡単に」「より美味しく」という方向がわかり、機能的には既存商品と変わらないけれど選択肢を増やしたことで販売増につながったりしている。

また特に大型店舗型飲食チェーンは非常に厳しい時代であり、軒並み撤退や閉店ラッシュであることから、アフターコロナで直面している水面下での競争は一体何か?を知ることで、売れたもの売れなくなったものを考えるとこれからの動向も仮説が立てられる。

売れたもの、売れなくなったものは何か?(環境変化編)

新型コロナウイルスにより事業環境は大きく変化していること、では何がどう変化しているのか?そしてどう競争が起きるのか?
生活様式や社会的要請により、行動エリアが変化した・外出自粛・働き方の見直し・営業時短・衛生意識の高まり・宴会、会食の抑制etc・・・ 

外食産業における事業規模は減少し、局地化局在化し、来店目的のないものは市場減少、非アルコール化も促進され、時間帯ニーズも変化し、衛生概念も重要視されてくる。
つまりアフターコロナで直面する競争は「家食」市場の激化が今後想定されてくる。

一方、密が少ない郊外店舗の需要は増加し、テイクアウトデリバリーの需要や非接触型接客やチェックアウトの広がり、環境変化対応メニュー開発など、アフターコロナで求められる食の外部化のポイントは「手間」と「おいしさ」を両立させることが競争に勝つことになる。

売れたもの、売れなくなったものは何か?(家計消費編)

ではコロナ特需となったお取り寄せは本当に生き残れるか?!

家計消費のグラフを見ても、生鮮肉や魚介、野菜とも前年同月比超えは続いているものの、年明けあたりから定価傾向にトレンドが変化しているのに気が付く。
確かに実際の購買シーンにおいても通常外食産業にしか出回らないような食材が身近なスーパーマーケットに陳列されていたりすることを目にしたりすると、送料をかけてまでお取り寄せをするかと考えると???
また外食産業も厳しい時代を乗り越えて復調の兆しは見えてきていることから、このまま「家食」がどこまで残るか、それとも変わるか、続くのか?
生き残るとすれば、そのポイントは、調味料、新たな味覚体験、手間の最小化、手をかけることの最大化が求められる。
素材を生産販売する僕ら農家はどうしたらよいか?このポイントを明確にしていくことが戦略の一つになると感じました。

売れたもの、売れなくなったものは何か?(食の外部化率編)

某コンビニエンスチェーンが「食の外部化率」を80%に!!と目標設定していたことを思いだします。
(外食率とは着席型、食の外部化率とはスーパーやコンビニのデリカも含むことを言います)

令和1年時点では外食率は33.7%、食の外部化率は43.1%ではあるものの、横ばい状態は続いています。
とはいえ新型コロナによってこの数値がどう変化するか、また外食における業種や業態の変化にはこれからも注視する大きなポイントだそうです。

デジタル時代のフードビジネス

ECの競合と課題

お取り寄せ市場の顧客層は「富裕層」、つまり可処分所得の高い顧客や世帯をどう取り込むか、または保持できるか?
このことについては至極痛感していることもあります。僕たちのようなちょっと特殊なものだとやはり普段使いをターゲットにしては厳しく、嗜好品や特別感的なターゲット設定は意識していました。ある意味、流通側にいたことが功を奏しているのかとも。
以下のようなことをどう捉えるかがカギとなりそうです。その為にも外との対比や購買におけるタッチポイントを知ることから始まります。

食品のおける消費者の購買タッチポイントは・・・
★鮮度やシズル感を感じていたリアル店舗が、いきなりデジタル化を要求された
→ネットスーパーの台頭、テイクアウトデリバリーへの転換、ネットオーダー+ピックアップ

★デジタル対応のリテラシーにより消費者分断が起きている
→高齢者のネットオーダーは慣れや経験がないと困難であること
→ECサイトは活況ではあるものの、物流は逼迫しクール便は戦々恐々
→EC+物流(楽天+日本郵政の連携)、または物流+ECの動き(クロネコヤマト+SHOWROOMの連携ライブコマース)

つまり、今後サイト内は「平面」で購入されているものを、どう他の感覚を文字や動画で補完表現するかになってきそう。
またクレームは早期対応は必須で、誠意ある姿勢が最優先!!これは接客の基本だなと。
分散化、自社化できるところは変化対応して主導権を握ること、考えることやること山積みです(笑)

当時厳しい出費で今でこそ役に立っていると実感中の、ちょうど農家になってごく間もないころ、清水の舞台から飛び降りる思いで行った「アメリカ(シアトル・ポートランド)流通視察ツアー」が上記のことをすごく実感、アメリカの10年後が日本の今、とうとう来たか!といった感覚です。
実際、あの視察がなければ今の僕たちはあるだろうか?と考えてしまいます。その当時のことをブログ(計5回)にもして記録しています。

デジタルビジネスのリスク

リスクについても学びます。
1、クレジットカード与信枠の問題
オンラインやキャッシュレス決済が進むと、当然ながら利用頻度や金額があがり限度額超えを起こします。
これは実際そうだなぁと思っています。弊園でもたまに与信枠によって決済エラーといった場面にも遭遇します。
せっかく購入の意思があったのに離脱してしまうといったリスクですね。

2、物流破綻
以前から懸念してはいましたが、新型コロナで一気に表面化したように思います。
サービス依存度や遅延問題、人材不足によって輸送限度を超えていること、だからこそ送る側も受け取る側も物流側との実績や関係性は早期に構築する必要はあると感じています。

3、クレーム対応による風評
たった1件かもしれない、されどその1件を蔑ろにすると全ての取引においての信頼や評判にマイナスの影響を与えてしまいます。
SNSなどでそのこじれや感情をむきだしちゃうような内容に遭遇することもしばしばありますが、毎回もったいないなあと・・・
少なくとも冷静にかつ一呼吸おいては必要ですね。

4、ゲームチェンジャーの出現
デジタルの世界では市場シェアや優位な状況を一気に変えるプレイヤーが出てきます。これも分かる気がする・・・
デジタルだけでなくリアルにおいても今ある状況が未来永劫続くとは限らないことを肝に銘じておかないといけないと改めて思いました。

今夏のビジネストレンド

在宅、テレワークと心理

コロナ前はオンオフの切り替えとして存在を見出していた「食」が、コロナ禍により多層的かつ並行する仕事や生活を後押しする役割へとベクトル変貌して、時間軸が1本であったものが複数へ、在宅・テレワークにより自己管理やセルフケアが必要、QQL向上を求められ始めた。

つまりこれからの食の提案は「時間」よりも「ゾーン」への対応と、ストレスといった負の側面よりも人生や生活を元気づけるような正の側面が不可欠になるとのこと。

注目される商品と特徴(家食を楽しく編)

今まで「寿司盛り合わせ」でよかったものが、あるとうれしい「手巻き寿司セット」になり、「追いメニュー」なるものが登場したり、スイーツ販売でよかったものが、あるとうれしい「パフェセット」になり、一人じゃ多くて買えないけどみんなでなら購入できるよねの「シェア買い」の登場から見えてくるのは・・・
★お客様が深層心理的に「欲しい!!」
★かゆいところに手が届く
★「ニーズ」より「ウォンツ」を先に提案
あれ?あれ?これもそういや学んだことあるぞ・・・継続実践の重要性が心に刺さります。

注目される商品と特徴(産直編)

消費購買における背景と条件を「人口」「気分」「最適」に切り分け、ニーズから見える問題解決とその制約条件を考えると以下のようになるとのこと。

★人口
ニーズ「単身世帯増加」に伴い、ソリューション「パーソナライズ(顧客全員に同じサービスやコンテンツを提供するのではなく、一人一人の属性や購買、行動履歴に基づいて最適な情報を提供する)」、一方の制約条件を「割高感」で訴求する
例:〇〇セット

★気分
ニーズ「リフレッシュ」に伴い、ソリューション「タイミング」、一方の制約条件は「携帯性」で訴求する
例:そのままサイズの即利用

★最適
ニーズ「マリアージュ(組み合わせや相性)」に伴い、ソリューション「ペアリング」、一方の制約条件は「汎用性」で訴求する
例:ベース食材(あれば用途はたくさんある)

となると、弊園のコンセプト「Eat in season」だと聞いていて思いました。
それをさらに進化させるためには・・・「旬」×「おいしさ」×「喫食体験」のイメージ固定化をさせることだと。
コロナによりハレの日、ケの日の境(ボーダーライン)がなくなってきたからこそ、より食べ方提案の再構築は進めていかなければならないと思います。

最後に・・・

何が出来るか?
それは「時限的価値を訴える」ことであり、生産者だからこそ知る最高においしい状態をお届けすること
作り手として最高のパフォーマンス、それはやはり今まで丹精込めて出来た野菜そのものであることを忘れてはならないと思います。

またお客様にとっての最適とは何か?を今一度考える必要があるなあと思いました。
弊園のお客様をもっと知らないといけないなと今回の講座を受けて感じ、学べるこの環境を与えてくれているカンさんに感謝しています。
いつもありがとうございます!!